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聖なる夜。
今宵はたとえいつも寡黙な男でさえ彼女の前では口元を緩ませるだろう。
それだけ恋人たちにとって特別な日なのだ。

此処にも幸せそうな二人の男女の姿があった。

男の名前は斎藤一。
無口で無愛想だが芯のしっかりした現代では珍しい真っ直ぐな男だ。
その隣で微笑む女は
斎藤とは対照的にコロコロ変わる豊かな表情が見るものを惹きつける女だ。

二人は家の中でのんびりとクリスマスを過ごしていた。

外はとても賑っていて二人だけの穏やかな雰囲気とは程遠いものだ。

人ごみを苦手とする斎藤のためにが家でクリスマスを過ごすことを提案したのだった。

斎藤とは二人並んでキッチンに立ち、料理をしていた。

「はじめー…。できないよぉー」
「む…、そこはそうでなく…」

あまり器用とは言えない彼女の補助をしっかりと手とり足取りしている姿は普段の斎藤からは想像もできないような優しい目をしている。
彼女にだからこそ見せる顔なのだろう。

「あっ!!できた!!こんなかんじ?」
「あぁ、よくできたな」

ひとつ出来たといっては喜ぶに斎藤は優しく笑いかけている。
なんともほのぼのとした二人である。

そんなこんなでなんとか完成した夕飯。

「できたー!!…っていってもほとんど一が作ってたけど…」
「そんなことはない。のおかげでいつもより張り切って作れたからな。」
「だって…私なにもしてないし」
「だから…は俺の隣にいるだけで充分なんだ。」
「一…」
「その…これを受け取ってくれるか?」

おもむろに斎藤が取り出した小さな箱。
叙せないなら誰しもがいチヅは受け取ってみたいアレである。

「一…これ…」
「俺は…にいつも隣にいて欲しい…。俺のものになってくれ。」

顔を赤くしながらも精一杯思いを告げた斎藤。
対しては涙で顔を濡らしながらも頷いていた。

不器用な愛の形はこの聖なる夜に形となった。


――END――

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