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企画モノ
『てるてる坊主』~斉藤一編~

新選組の屯所の一室では刀の手入れをしている斉藤に話しかけていた。

「一くーん」
「なんだ?」
「雨、いつ止むかな?」
「わからん。だが、そのうち止むはずだ。」
「そのうちっていつ?」
「そのうちはそのうちだ」
「さっきから同じこと言ってるよ」

二人は半刻ほど前からずっと同じ会話を繰り返している。

「あっ!そうだ、てるてる坊主作ろー」
「てるてる坊主…」
「一君もやるんだよ!材料持ってくるから待ってて!」
「何故俺が…!おい、!!」
「行ってくるねー」

斉藤の声も虚しくはさっさと材料を集めに行ってしまった。


+++

「ただいまー」

しばらくすると材料をどこからか調達してきたが帰ってきた。

、俺は作らないぞ」
「えぇー!なんで?」
「今は生憎俺は暇ではない。刀の手入れをしている最中だ」
「……じゃあいいよ。ここで一人で作るから」

そう言うとはてるてる坊主を作り始めた。

作り始めたものの作り方をよくわかっていない

「一君、そこ持ってて。手が足りないの」
「…あぁ。こうか?」
「そう、ありがと!」
「いや…構わないが」

ジョキンッ!ジョキンッ!

しばらくするとてるてる坊主を作るのには明らかに必要ないであろう音が聞こえ始めた。

「何をしている?」
「今?鋏で切ってるの」
「…持ち方が危ない。……こちらに鋏を寄越せ。俺が切ろう」
「大丈夫だよ」
「危なっかしくて見ていられん。」

斉藤はから鋏を取り上げた。

「大体てるてる坊主を作るのに、どこで鋏を入れるのだ?」
「下のギザギザのところじゃないの?」
「……あそこは結んだ時に長さの都合でギザギザになるのだ。故意にやっているわけではない。」
「そうなんだー…」

結局斉藤はに作り方を教えながらてるてる坊主を作り始めた。

「幼子のようだな」
「なっ…!立派な大人だもん」

斉藤は微笑むとまた作るのを再開させた。

雨の日の屯所の一室。
そこにはじめじめした空気ではなく和やかな空気が流れていた。

――END――

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