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悲恋/死ネタ/現パロ/総司落ち
それからまた治療に専念しながらドナーを待ち続けた。

ある晴れた日、僕はなんとなく外に行きたくなった。


「なに?」
「外に行きたい。」
「え?何言ってるの?ダメだよ」
「なんで?今日は調子がいいんだ」
「でも、ダメだよ。ここにいよう?」
「もう病室にいるの嫌だ。…散歩行こうよ」
「ダメだってば!」
「お願い…」
「…じゃあ、土方先生に相談してみようか」

僕等は土方先生を呼んで聞いてみることにした。

「土方先生、外になんか行っちゃダメですよね?」
「いいですよね?」
「別に良いが…体調がいいんだろ?」
「ほらね、は心配しすぎなんだよ」
「土方先生!!」
「な…なんだよ、!!」

二人で病院の庭を散歩した。
ずっと病院内にいたからなんだか外の空気が新鮮だった。

久しぶりに二人っきりで過ごした気がする。


しばらく散歩して病室に戻る途中、突然発作の衝動がきた。

「ぐ…ぅ…!!」
「総司くん!!」

倒れこむ僕を支えて土方先生を呼ぶ名前。
やっぱりの言うとおりに病室にいればよかったかな。

何も考えられなくなって重たい瞼を閉じた。

そして夢を見た。

僕は浅黄色の羽織を着て刀を振るっているんだ。

浅黄色の羽織なんて…まるで新選組みたいだ。

周りにはよく知る顔があってやっぱり浅黄色の羽織を着て刀を振るっている。

その中にはによく似た女の子がいた。
男装をしてはいるけどどことなく女の子らしい。
男と一緒になって袴を穿いて刀を小さな体で一生懸命振るっている。
その強さは圧倒的でまるで鬼神とでも言うべきほどだった。
返り血を浴びても動じず自分の道を貫いている彼女の姿は美しく、凛々しかった。

それからどの位の時が過ぎたのだろうか。

僕によく似た人はによく似た人と山奥でひっそりと暮らしていた。
血生臭さとはかけ離れた穏やかな暮らしをしている。

とても幸せそうに…。

「……。僕の心は永遠に君のものだ。たとえ離れる時が来ても僕は君の傍にいるから。誰よりも君の幸せを願っている」
「私の心だって永遠にあなたのもの。私の幸せはあなた無しじゃありえないのよ。」
「うん…わかってる」

どこか儚げな会話をしながら二人は穏やかに過ごしていた。

突然頭が割れるような頭痛がして目を閉じた。
また目を開けると飛び込んできたのは幸せそうに笑いあう僕とだった。

名前の腕の中には子供もいる。

これは僕の未来?
じゃあさっきのは過去?
それとも僕が望んでいる世界?

二人で過ごしたいって感情がこんな幻…いや夢まで見せているのだろうか。


これ以上は見てはいけない気がして僕は目を閉じた。

次に目が覚めたとき、僕は泣いているを見つけた。

ー…心配かけてごめんね。

そう伝えたくて口を開こうとしても口が動かない。
声も出せない。
それどころか…身体が鉛のように重く感じる。

あぁ…僕は死ぬんだ。
自覚できた。

死ぬことをまだどこか受け入れられていなかった僕は自覚した途端恐ろしくなった。
死ぬことがじゃない、のことをおいて逝くことがだ。

せめて口が動けば、今の思いを告げられるのに…。

瞼が重い。
でも、ここで閉じればもう二度と開くことはないんだ。
せめて、最期にの笑顔が見たかった。
僕らが出会うきっかけになったあのカフェに行きたかった。

必死に僕のを呼ぶ名前の声を聞きながら僕は瞼を閉じた。


さようなら、
来世でも君を探し出して幸せにするよ…。
それまで待っていて…。

最初で最後の本気の恋を教えてくれてありがとう。


――END――

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