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企画モノ
『てるてる坊主』~土方歳三編~

梅雨真っ盛り。
副長室では一人の少女が副長に向かって不満を漏らしていた。

「ねーねー土方さーん。雨ヤダー。」
「……」
「ヒマー。」
「……」
「雨鬱陶しー」
「……」
「土方さん副長でしょ。泣く子も黙る鬼の副長なんだから雨止ませてよー」
「うるせーなっ!!てめぇの方が鬱陶しい!!大体副長は万能じゃねぇんだよ!!」

あまりの不満や無茶難題に土方もついに怒鳴った。

「暇なんだもん…。じゃあ土方さんが構ってよー」
「俺は仕事が多くてお前に構ってる場合じゃねぇんだよ!!」
「いいじゃん、ちょっとぐらい!!」
「いいから黙ってろ!」
「ちぇっ」

土方に怒られしぶしぶはその辺に転がっている土方の書き損じた書類で何やら作り出した。

「……おい、何してやがる?」
「別に…構ってくれない土方さんには関係ないもん」
「そうかよ」

カサカサ…カサカサ…

紙をカサカサ音を出しながらは何かを作るのをまた始めた。

「…おい、何してんだ?」
「別に……」
「耳障りなんだよ。答えろ」
「…もうちょっとしたらできるからそしたら見せてあげるね」

また作業をそれぞれ始める二人。

「土方さん、筆一瞬だけ貸して」
「…すぐに返せよ」
「うん」

何やら書くと土方に筆を返しまた作業を始めた。
その姿を不審げに見る土方もやがて作業を始めた。

「でーきた!!みてみてー」
「ん?」
「てるてる土k…じゃなくててるてる坊主」
「今なんて言おうとした?」
「てるてる坊主だもん」
「…まぁいい。なんだそれ?」
「だからーてるてる坊主だってば」
「そんなもんを作ってたのかよ…」
「そんなもんじゃないもん!」

そう言うとはてるてる坊主に話しかけ始めた。

「ヒマだねー」
『そうだねー』
「土方さん遊んでくれないねー」
『そうだねー』
「土方さんのケチー」
『ケチー』

は1人で2役やりながら話していた。
土方に聞こえるか聞こえないかくらいの大きさでだ。

「うるせーんだよ!」
「いいじゃん、別に。土方さんに話しかけてないもん」
「それでも聞こえるんだよ!!」
「じゃあちょっと休めばー」
「……」

の言葉に土方は少し考えてから言った。

、ちょっと休むことにする。うまい茶を持ってこい。それまでに片付けておく」
「了解!!」

は満面の笑みで勝手場にお茶を汲みに行った。

(なんだかんだでには甘くなっちまうんだよな…)

それから土方とは和やかな梅雨の一時を過ごしたようだ。

この時ばかりは2人とも梅雨の鬱陶しさを忘れられたような気がした。


――END――

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