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企画モノ
『あなたの隣を歩きたい!!』~沖田総司編~

「こらー!!総司!!どこ行きやがった!!」

今日も新選組の屯所では土方の怒鳴り声が響く。
彼はいつも沖田の悪戯の被害にあっている。
犯人の特定はされていないが、泣く子も黙る鬼の副長に悪戯をしかける人物なんて決まっている。

たとえ見つかっても説教を飄々とした態度でかわしてしまう。
反省などせずに土方の反応を面白がっている節があるから、どうしようもない。

ガラッ!!
、総司を見なかったか?」
「い、いえ。見ていませんが。」
「隠すとためにならねぇぞ」
「隠してませんよ!」
「…ならいいが。見つけたら教えてくれ」
「は、はい。わかりました」

土方は少し疑うような目でを見てから部屋を出て行った。

「総司君、土方さん行ったよ」

すっ…-

押し入れの襖が開く。

「ありがとう、ちゃん。助かったよ」
「はぁ…。今日は何をしたの?」
「別に大したことじゃないよ。最近暑くなってきたから書き物の途中でうたたねしてた土方さんの首筋に冷やした手拭いを置いただけ。親切でしょ?」
「うわぁ…」

名前はのしたことに若干引いてしまった。
沖田の今日の悪戯はいつにもまして悪質である。

「さて、匿ってくれたお礼に甘い物でも食べに行こうか」
「え?」

沖田はそう言うとの手を取って外に出て行った。

はされるがまま、連れて行かれるがままに外に出ていた。
いまだに頭が追いつかないでいる。

「総司君、どういうこと?どこ行くの?」
「だから、新しくできた甘味屋があったから一緒に行こうと思って」
「そういうことね」
「そういうこと。さ、ちゃっちゃと歩いて」

は沖田と京の市中に繰り出した。

歩いていると沖田はたくさんの町娘に見られている。
黙っていると色男である。
はなんとなくみじめな気分になって、後ろの方を歩き出した。

「ねぇちゃん、なんで隣を歩かないの?」
「え…別に」

沖田はに聞くが答えようとしない。
その反応に沖田はみるみる不機嫌になっていく。

「ねぇ、なんで隣歩かないの?来なよ」
「…」
「なんか言ったら?」
「別に…」
「…はぁ。もういいよ」

沖田はの手を強引に掴んだ。

パシッッッ!!

はその手を振り払った。
沖田はの方を驚いて振り返った。

沖田はいつもの彼女らしくない反応を不審に思い、を物陰に連れて行った。

ちゃん、どうしたの?何かあった?」
「別に…」
「何かあったでしょ?教えて。」

沖田の優しげな声には口を開いた。

「あのね、女の子みんなが総司君のこと見てて私なんかが隣にいたらおかしいんじゃないかなって…」

の言葉に沖田は少し顔が綻んだ。

ちゃん、馬鹿なの?」
「は…?」
「僕はそんなこと気にしてないんだから君も気にすることはないんだよ。わかった?」
「…でもっ!!」
「いいから。ね、わかった?」
「…うん。」

沖田の言葉には納得した。
彼の差し出した手を取って彼女は甘味屋への道を行く。
2人の顔は幸せそうだった。

だが上機嫌で帰った二人に屯所の玄関で待ち構えていた鬼の怒鳴り声が響いたのは言うまでもない。


――END――

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≪   あなたの隣を歩きたい!! ≫
薄桜鬼の夢小説を扱っています。 ほのぼの(ギャグ)~悲恋まで
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