企画モノ
『てるてる坊主』~沖田総司編~
『てるてる坊主』~沖田総司編~
梅雨の時期はほとんどの人が嫌いだろう。
新選組の幹部、隊士といえどそれは変わらない。
「ヒマだねー」
「うん、そうだね」
「総司君、なにする?」
「なにしようか?」
「うぅーん……」
広間では沖田とは二人で何をするか考えていた。
晴れていれば京の街へ買い物に行くこともできるが雨が降っている。
買い物にも行けずにここしばらくは屯所の中に籠りきりである。
「あっ!!ねぇねぇ、てるてる坊主作らない?」
「てるてる坊主?」
「そうそう!みんなに似せたの作ってさ、広間とそれぞれの部屋の前に飾って反応を楽しもうよ!」
「ふぅーん。いいこと考えたね、ちゃん」
「でしょ?」
悪戯になると労力を惜しまないこの二人。
とたんにやる気を出しててるてる坊主作りの材料を集めだした。
二人は材料を集めると早速作業に取り掛かった。
「さて、集まったことだしどうする?」
「思い思いに作ってみて面白い方を採用しようよ」
「うん、そうしよっか」
二人は黙々とてるてる坊主を作り出した。
それぞれのイメージで…思い思いに。
「総司くーん、できた?」
「うん。ちゃんは?」
「できたよー」
二人は四体のてるてる坊主ができたようだ。
「まずはさー土方さんから見せ合おうよ」
「そうだね。じゃあ僕から…」
沖田が見せた土方のてるてる坊主は句集を手に持っていた。
「あはははは!!私も句集持たせたよ!!」
「やっぱり?宝玉さんと句集は離せないよね」
「うんうん!これにしよーよ!!」
「うん、これで決定だね」
二人の作ったてるてる坊主が同じだったため土方のてるてる坊主は句集を持ったものになった。
「じゃあ次は一君ね」
「うん」
「私から…じゃーん!!」
名前が見せたてるてる坊主には胴体の部分に『石田散薬』と書かれていた。
「あはははは!!!石田散薬って…!!!」
「よくない?一君は石田散薬のこと信じてるし!……総司君のは?」
「僕のはねー…これ!」
沖田が出したてるてる坊主には額に『副長』と書かれていた。
「あはは!これも面白いね」
「でしょ?でもちゃんのが採用だね」
「なんで?」
「だってさ、一君は喜ぶけど、ほかの皆にはわかる面白さじゃん」
「あーそっか。じゃあこっちにしよー」
斉藤へのてるてる坊主は『石田散薬』と書かれたものになった。
「次はー平助君だね」
「平助のは良いのができたよ」
「どんなの、どんなの?」
「これこれ…」
沖田が出した藤堂へのてるてる坊主には『少年』と書かれていた。
「あははは!少年って…!!」
「いいでしょ、これ。」
「すっごいいい!採用!!」
「ちなみにちゃんのはどんなの?見せてよ」
「私の?私のはこれだよ」
名前が出した藤堂へのてるてる坊主はしっぽがついていた。
「可愛くない?」
「微妙…」
「えー!良いじゃん!…まぁ総司君のが面白いけどさ」
「左之さんのはなんて書いた?」
「多分同じだしせーので言おうよ」
「うん……せーのっ」
「「酒」」
「あはは!やっぱり?」
「だってお酒しか思いつかないでしょ」
二人の意見の一致により原田へのてるてる坊主には『酒』と書いたものになった。
それぞれ決まったてるてる坊主をもう一つ作り広間と各部屋に飾った。
すぐにみんなに気づかれ、土方を除く三名は面白がったり喜んだりしてくれた。
土方は句集を書かれたことで怒りだし、沖田とのことを怒って追いかけだした。
土方に追いかけられることさえも二人にとっては良い暇つぶしになっていることを土方は知らない。
他の者はみんな知っているというのに…。
つまらない梅雨の日でもこうして遊んで少しでも楽しくなった。
それでも、早く晴れることをやっぱりてるてる坊主に祈る二人だった。
――END――
新選組の幹部、隊士といえどそれは変わらない。
「ヒマだねー」
「うん、そうだね」
「総司君、なにする?」
「なにしようか?」
「うぅーん……」
広間では沖田とは二人で何をするか考えていた。
晴れていれば京の街へ買い物に行くこともできるが雨が降っている。
買い物にも行けずにここしばらくは屯所の中に籠りきりである。
「あっ!!ねぇねぇ、てるてる坊主作らない?」
「てるてる坊主?」
「そうそう!みんなに似せたの作ってさ、広間とそれぞれの部屋の前に飾って反応を楽しもうよ!」
「ふぅーん。いいこと考えたね、ちゃん」
「でしょ?」
悪戯になると労力を惜しまないこの二人。
とたんにやる気を出しててるてる坊主作りの材料を集めだした。
二人は材料を集めると早速作業に取り掛かった。
「さて、集まったことだしどうする?」
「思い思いに作ってみて面白い方を採用しようよ」
「うん、そうしよっか」
二人は黙々とてるてる坊主を作り出した。
それぞれのイメージで…思い思いに。
「総司くーん、できた?」
「うん。ちゃんは?」
「できたよー」
二人は四体のてるてる坊主ができたようだ。
「まずはさー土方さんから見せ合おうよ」
「そうだね。じゃあ僕から…」
沖田が見せた土方のてるてる坊主は句集を手に持っていた。
「あはははは!!私も句集持たせたよ!!」
「やっぱり?宝玉さんと句集は離せないよね」
「うんうん!これにしよーよ!!」
「うん、これで決定だね」
二人の作ったてるてる坊主が同じだったため土方のてるてる坊主は句集を持ったものになった。
「じゃあ次は一君ね」
「うん」
「私から…じゃーん!!」
名前が見せたてるてる坊主には胴体の部分に『石田散薬』と書かれていた。
「あはははは!!!石田散薬って…!!!」
「よくない?一君は石田散薬のこと信じてるし!……総司君のは?」
「僕のはねー…これ!」
沖田が出したてるてる坊主には額に『副長』と書かれていた。
「あはは!これも面白いね」
「でしょ?でもちゃんのが採用だね」
「なんで?」
「だってさ、一君は喜ぶけど、ほかの皆にはわかる面白さじゃん」
「あーそっか。じゃあこっちにしよー」
斉藤へのてるてる坊主は『石田散薬』と書かれたものになった。
「次はー平助君だね」
「平助のは良いのができたよ」
「どんなの、どんなの?」
「これこれ…」
沖田が出した藤堂へのてるてる坊主には『少年』と書かれていた。
「あははは!少年って…!!」
「いいでしょ、これ。」
「すっごいいい!採用!!」
「ちなみにちゃんのはどんなの?見せてよ」
「私の?私のはこれだよ」
名前が出した藤堂へのてるてる坊主はしっぽがついていた。
「可愛くない?」
「微妙…」
「えー!良いじゃん!…まぁ総司君のが面白いけどさ」
「左之さんのはなんて書いた?」
「多分同じだしせーので言おうよ」
「うん……せーのっ」
「「酒」」
「あはは!やっぱり?」
「だってお酒しか思いつかないでしょ」
二人の意見の一致により原田へのてるてる坊主には『酒』と書いたものになった。
それぞれ決まったてるてる坊主をもう一つ作り広間と各部屋に飾った。
すぐにみんなに気づかれ、土方を除く三名は面白がったり喜んだりしてくれた。
土方は句集を書かれたことで怒りだし、沖田とのことを怒って追いかけだした。
土方に追いかけられることさえも二人にとっては良い暇つぶしになっていることを土方は知らない。
他の者はみんな知っているというのに…。
つまらない梅雨の日でもこうして遊んで少しでも楽しくなった。
それでも、早く晴れることをやっぱりてるてる坊主に祈る二人だった。
――END――
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2012/09/16
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