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企画モノ
『てるてる坊主』~原田左之助編~

梅雨の時期はみんなが屯所内で作業をしている。
たとえそれが監察方であろうと幹部だろうと変わりはない。

「あっ!左之さん、ちょうどいいところに」
か、どうした?俺に用か?」
「うん。ちょっとそこ押さえておいて欲しいの。頼んでいい?」
「あぁ。構わねぇぜ。……っとこれでいいのか?」
「うん、ありがと!」

は巨大な白い何かを結んでいた。

「なぁ、そいつは何だ?」
「ん?これ?」
「あぁ」
「これねー、てるてる坊主」
「てるてる坊主?」
「うん」

原田の知っているてるてる坊主は少なくともこんなに巨大ではなかった筈だ。
は原田に作っている理由を聞くと説明し始めた。
“土方さんにあげるんだ”と。

「こんなでっけぇ物じゃ土方さんも困るんじゃねえか?」
「うふふー。平気だよ。……土方さんだからあげるんだし。」
「はぁ……。土方さんにまたどやされるぞ」
「平気だよー。」

原田はの反応にため息をついた。
いつも沖田と土方をからかっては遊んでいる。

「そういえば今日、総司はいねえのか?」
「総司君なら別の用意してるよ」
「別の用意?」
「うん、てるてる坊主吊るす準備」
「……そうか」

今回の悪戯はが一人でやっていると思ったがやはり沖田も加担していたことに脱力した。

、あんまり土方さんと遊んでやるなよ」
「うん。だって私土方さんで遊んでるし」
「はぁ……」

のあっけらかんとした物言いに原田はまた力が抜ける気がした。

「あっ!左之さん、これあげる」
「?」
「てるてる坊主。手伝ってくれたお礼」
「おっ、こりゃ可愛いのじゃねえか。ありがとな」
「うん」

は原田にてるてる坊主を渡した。
原田は目を細め頭を撫でた。

ちゃーん。準備できたよー」
「あっ!今行くー!!じゃあね、左之さん。ありがと」
「あぁ…。ほどほどにしろよ。」
「うん!!」

そう言って二人は別れた。
原田はにもらったてるてる坊主を見つめていた。

「良いもんだなぁ…」

原田は微笑むと部屋に向かいそのてるてる坊主を飾った。

しばらくはこのてるてる坊主が梅雨の鬱陶しさから原田の心を癒してくれるだろう。


――END――

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≪ てるてる坊主   ≫
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