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切甘甘
彼は大人だ。いつもさりげない気遣いができるし、いつもうまく思いを伝えられない私もこの気持ちをわかってくれている。
そんな原田さんは隊士の皆さんからの信頼は大きい。それに当然、女性からも慕われている。

今日、私は原田さんが知らない女性に恋文らしき物をもらったのを見てしまった。

綺麗な女性だった。
原田さんはちゃんと断ってくれたのかな。

私が子供だから原田さんの隣は似合わないかもしれない…

私の気分は次第に落ち込んでいった。

こんな所でどうしたんだ?」
「いえ、なんでもないです」

気分を落ち込ませた張本人である原田さんが来た。
私は気づかれたくなくて精いっぱいの笑顔で答えた…はずだったのに…。

「何かあったのか?」
「何もないです」
「じゃあ、なんでそんな泣きそうに笑うんだよ?」
「っ!!」

私の嘘なんて彼には通用しなかった。
私の嘘が通用しなかったのが悔しくもあり、すぐに気づいてくれた事に喜びも感じていた。

「何があったんだ?言ってみろよ?」
「原田さんには言いたくないです…」
「そりゃどうしてだ?俺はお前になんか嫌われちまうようなことをしたか?」
「そんなことないです!!でも私のことを原田さんは嫌いになっちゃいます」

私がそう言うと原田さんは優しく囁いた。

「俺はのことを嫌いになんてならねぇさ。ほら…言ってみろよ」

私は原田さんの優しい声に促されて今までのことを全部話してしまった。
私が話し終えると原田さんは優しく微笑んだ。

「俺は以外の女になんて興味ねぇよ。今日のだってちゃんと断ったさ。」

私の頭をなでながら彼は続ける。

「それには子供でもねぇ。気遣い上手でいつもみんなのことを考えられる。そんな奴は子供じゃねぇ。立派ないい女だ」

原田さんは少し顔を赤らめて先を続けた。

「寂しがりなくせに強がって甘えるのが下手なのことを俺は愛おしく思ってるんだ。」

彼の言葉に私は赤くなった。
原田さんの言葉は優しく胸に沁み渡っていき、心のなかで溜まっていたものがとけて無くなった。

。俺はお前を愛している。これだけは何があっても信じ続けろ。」
「はい。私も原田さんを愛しています。愛し続けます。」

やっぱり彼は私より大人だ。
でももし、また悩み事があれば原田さんに打ち明けよう。原田さんの悩みを私が受け止めよう。

そのためにはもっと大人にならなくちゃ。
先を行く彼に追いついて彼の後ろじゃなくて隣を並んで歩けるように…。


――おまけ――

と別れて部屋に戻った原田は先ほどのことを思い出して嬉しくなっていた。
きっと今の彼の顔は緩みきっているだろう。
自分の思いを伝えるのが苦手なが自分の思いをぶつけてくれたのだ。

「嫌いになんてなれるはずねぇじゃねぇか」

彼は彼女の不器用さが愛しい。
彼女のすべてが愛しい。

そんな彼の思いに彼女は良い気が付くのだろうか…?

――END――

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