企画モノ
『あなたの隣を歩きたい!!』~藤堂平助編~
『あなたの隣を歩きたい!!』~藤堂平助編~
彼はかっこいい。
見た目ももちろんだし、性格も、仕草もどこか子犬を連想させる愛くるしさがある。
こんなことを本人に言ったら拗ねてしまうのは目に見えてわかるから言わないけど。
…私なんかが彼の隣にいてもいいのだろうか。
こんな平凡な容姿の私が…。取柄もないのに。
そんなことを思いながら、彼ー…平助君が待っている場所へ向かった。
「お待たせー!!」
「あっ!!!!」
「ごめんね、待った?」
「いや、俺も今来たところ!!…じゃあ行こうぜ!!」
今日は平助君と非番が重なり、一緒に出掛けることができたのだ。
「とゆっくり外に行くのなんか久しぶりな気がする」
「そうだねー。お互い忙しかったし」
平助君は8番組組長だし、私は監察方だ。
すれ違いが多い生活だが、彼に愛されていると思う。
非番の日は平助君は違う日なのに、
土方さんに頼み込んでくれたことを私は聞いてしまった。
あえて知らないふりをするのが1番だと思い、知らないふりをしているが。
しばらく二人で他愛のない会話を楽しんでいた。
…なんだか周りの視線が痛い。
周りの町娘が私を睨んでいるのがわかった。
やはり私じゃあ釣り合わない。彼のかっこよさに見合わないんだ。
私は気づかれないように、少しずつ後ろに下がって歩いた。
しばらくそうしていると、後ろに下がることに気を取られ、はぐれてしまった。
どうしよう……
私は平助君を必死に探した。でも、人も多く見つからなかった。
とりあえず道端に腰を下ろして平助君が通るのを待った。
ここは屯所への帰り道だから、きっと平助君も通るはず…そんな思いを抱きながら。
~平助side~
俺は久しぶりにとゆっくり出かけられて浮かれていた。
だからかもしれない。
とはぐれてしまった。
どうしよう…!!
俺はとりあえず近くを見て回った。
らしい後姿を見つけると近寄るが違う人だった。
俺が浮かれて歩いたから、はぐれたんだ…!!
俺は必死にを探し回った。
でもなかなか見つからず、とりあえず俺は屯所への道に行ってみることにした。
するとが道端に座り込んでいた。
道行く人がを見ている。
すぐに駆けつけようとすると、の所に男が2人寄って行った。
何やら話しかけている。
…俺のに気安く話しかけんなよ。
俺はそう思って駈け出そうとした。
の腕が男たちに引っ張られた。
は抵抗をしているが、やはり男2人の力にはかなわない。
「おいっ、てめぇら!!人の女に乱暴してんじゃねえよ!!」
「あぁん。なんだてめぇ」
「平助君…!!」
は安心したような顔を見せる。
男は俺に目を向けた。
「てめぇ、なんなんだよ?」
「俺はそいつの男だ!!」
そう言いきると、男の一人は慌てだした。
なにやらこそこそ話すと謝り逃げ出していった。
俺が新選組の幹部だって気が付いたのだろう。
普段は忌み嫌われていて嫌だがこうして役に立ってよかった。
俺はを抱きしめた。
「ごめんな。俺が目を離したから…」
「違うの!!私がわざと離れて歩いたのがいけないの!!」
「え…?」
俺はその言葉を聞いてどうすればいいかわからなくなった。
~平助side end~
怖かった。知らない男の人に触られるのが、ここまで怖い物なんて…。
今日は刀を持っていなかったから余計に身を守る術がなくて怖く感じた。
「おい、姉ちゃん。どうしたんだよ?茶でも飲みに行こうぜ」
「嫌です…っ!!離して!!」
手を振り払おうとするがさすがに男2人にはかなわない。
ー…平助君っっ!!
愛しい彼の名を心の中で叫びながら目をつむった。
「おいっ!!てめぇら、人の女に乱暴してんじゃねえよ!!」
大好きな声が聞こえた。恐る恐る目を開けると男たちは行った後で、平助君の温かい腕に包まれた。
「ごめんな。俺が目を離したから…」
申し訳なさそうに謝る平助君の言葉を否定した。
「違うの!!私がわざと離れて歩いたのがいけないの!!」
「え…?」
私の言葉に平助君は過剰に反応した。
「なんで?俺、なんか嫌われるようなことした?」
「違うの…。えっと…」
「、ちゃんと教えて?」
「あのね、平助君がカッコイイから隣を歩くのが恥ずかしくなっちゃって…。それに周りの女の子が平助君のことずっと見て私のこと睨むし…」
私は恥ずかしくて、うつむきながら答えた。
平助君はしばらく動揺してから、元気な声で言ってくれた。
「大丈夫だって!!のことは俺が絶対に守るから!それに何を言われようと、俺が名前のことを…その、す…好き…なのは変わんねぇし…!!」
その言葉に思わず私は顔を上げた。
眩しい笑顔を浮かべた平助君がニカッ!!と笑っていた。
「さーて、これからもう1回茶店に行こうぜ!!
平助君は私に手を差し出した。
「つないどかない?ともうはぐれたくないし。俺、すっげぇ心配したんだからな!!嫌とか言うなよ…」
「うん…!!」
こうして私たちは今度は手をつないで茶店に向かい、久しぶりの非番の日を楽しんだのだった。
――END――
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2012/09/16
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