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悲恋気味/町娘/平助落ち
~・平助side・~

一昨日の晩、に会った。
自分の墓を見に行ったらそこにいた。


まさか会うなんて思ってなかった俺は気が動転した。

ここでバレるわけにはいかない…!

「平助君…ッッ!!」

に抱きつかれた。
背中越しだけど懐かしいの香りがする。
でも、ここで振り向けばにばれてしまう。
でも…!!

誘惑に勝てなかった俺は一瞬だけ振り向いてしまった。

の表情が固まった。

それもそうだろう。
死んだと思っていた人間が生きていたら。
気味が悪い。

「平助君…!平助君、会いたかった」
「俺は…」

どうしていいかわからずにそこから走り去った。
俺にはもうを抱きしめる資格はない。
もっと普通の、生きている人間がのことを幸せにしなくちゃならない。

俺じゃ…俺じゃダメなんだ。

でも…会いたかったって言ってくれたことが嬉しくて。
このままじゃダメだって気持ちと…混ざり合って俺は忘れようとした。


そして今晩。
が屯所に来ていることを告げられた。
昨日の夜から来ていたらしい。

左之さんから事情も聞かされた。
ここに来た経緯。
が労咳にかかっていて、もう…先が長くないことも。

俺はしばらく言葉が出なかった。


労咳…?
が…?
嘘だろ…。

みっともねぇって思ったけど左之さんの前で泣いちまった。

「俺の…俺のせいで…!俺のせいでが…!」
「平助のせいじゃねえよ」

左之さんは俺のことを慰め続けていてくれた。

「大丈夫か?」
「あぁ…。とりあえず、に会わねえと」
「あぁ」

ようやく落ち着いた俺は顔を洗っての待つかつての俺の部屋へと向かった。

…!!」
「平助君…!」

名前は安心したような目で俺を見た。
顔をよく見ると涙の跡がある。

「泣いていたのか?」
「ううん…泣いてないよ」

無理に明るく振る舞おうとしているのがバレバレだ。

「なんでここに?」

わかっていることだけど、本人からちゃんと聞いておきたくて俺はに訊ねた。
はゆっくりと話し始めた。

「一昨日の夜、平助君を見かけて…。昨日の夜に会いたくて忍び込んだの」
「…馬鹿ッッ!!」
「!!」
「何危ないことしてんだよ!!俺が…俺が一昨日お前から離れたのは…お前を、を危ないことに巻き込ませないためだったのに…」
「でも…私は…私は、もう一度でいいから会いたかった。会って話がしたかった。…平助君は違うの?」
「俺だって…!!」

俺はを抱きしめた。
俺だって会いたかった。
自分の墓に行ったのだってもしかしたら名前に会えるかもしれないって思ったからだ。
行けないことだってわかってたけど…抑えられなかったんだ。

ようやく…ようやく会えたのになんで名前は労咳になっているんだよ!!
これからなのに…!
一緒に生きていけると思ったのに。

不意にが口を開いた。

~・平助side END・~

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≪ 終章 告げられた真実 ≫
薄桜鬼の夢小説を扱っています。 ほのぼの(ギャグ)~悲恋まで
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