悲恋気味/町娘/平助落ち
次に目が覚めたとき、私は見慣れた懐かしい部屋にいた。
平助君の部屋だ。
「おっ、。目が覚めたか?」
襖があいて入ってきたのは原田さんと永倉さんだった。
「あ、お二人とも…。昨晩はすみません」
「驚いたぜ。咳込む声がしたと思ったらちゃんがいるんだからな」
「すみません」
「とりあえず俺は土方さん呼んでくるからよ」
「あ…はい」
「頼んだぞ、新八」
そう言うと永倉さんは出て行った。
「それにしてもどうしてここに?」
「えっと…一昨日の晩、平助君に会って屯所の方に走り去って行っちゃたから…。真相を確かめたくて」
「見間違いじゃなくてか?」
「はい。確かにこの目で見ました」
「…こりゃあ平助が言うだけあるな」
「え?」
「平助がな、に会った日にお前のことを真っ直ぐな度胸のある女だって言ってたからよ」
「そうなんですか」
「それよりお前、体は大丈夫なのか?」
「それは…「連れてきたぜ」
私は自分のことを言おうとすると土方さんたち他の幹部が部屋に入ってきた。
「皆さん…!御無沙汰しております。昨晩はご迷惑をおかけしました。」
「いや、それよりなんでここに来た?」
土方さんに鋭い目線を浴びさせられながらも先ほど原田さんに話したのと同じことを話した。
「そういうわけか…」
「はい…」
「で、なんで倒れてたんだ?俺たちが知っているころより大分痩せちまっているが」
「それは…ちょっと体を壊してしまって」
「そうか…」
「平助君は…平助君は生きているんですよね?」
私は土方さんに望みをかけながらすがるような思いで訊ねた。
でも土方さんは首を縦には振らなかった。
「でも…!私は確かにこの目で見ました!!」
「平助は!!平助は…死んだんだ。油小路で…」
私の言葉を遮るように言った土方さん。
横で何も言わずに黙ってみていた沖田さんが口を開いた。
「いいんじゃないですか、もう本当のことを言っても」
「総司…!」
「え…?」
「それにちゃんには知る権利もあるんだし。平助の許嫁だよ。それに…もう先は長くなさそうだしね」
「…!!」
沖田さんの言葉に皆が息をのんだ。
私は口を開いた。
「沖田さんの言うとおりです。私の先は長くありません。…労咳に侵されています。」
「なっっ……!!」
それを告げると部屋は静まり返った。
しばらくの沈黙のあと、土方さんがようやく口を開いた。
「…これから言うことは誰にも言うな。言ったら、お前には死んでもらうことになる。」
「はい…っ!」
そうして聞かされた。
変若水のこと、羅刹の存在。
そして、平助君も羅刹であること。
「…こんな所だ。お前が見たのは正しい。」
「そんな…っっ!!」
すぐには頭がついて行かなかった。
でも、これだけはわかった。
まだ、平助君と一緒にいられること。
「だがな、」
一呼吸おいてまた話し始めた土方さん。
「変若水はまだ完成していないんだ。だから、羅刹もまだ未完成だ。…平助だっていつ、血に狂っちまうかわからねぇ」
「えっ…!!」
「だが、最近わかったことだが、東北の地の水は羅刹に良いかもしれないということがわかってきた。」
「それなら…っ」
「あぁ。もし、お前と平助がここえお離れてそこで暮らすってんなら止めはしねぇ」
「土方さん…」
「あとは夜になって二人で決めろ」
「ありがとうございます!!」
私は深々と土方さんに頭を下げた。
土方さんの不器用な優しさが嬉しかった。
幹部の皆も口々によかったなと言ってくれた。
平助君も私も幸せ者だ。
こんなに温かい人たちに巡り合えたんだから。
土方さんが出ていくとほかの人も出て行った。
「沖田さん」
「ん?何、ちゃん」
「あの…どうして私が先が長くないことわかったんですか?」
「…別に。なんとなくだよ」
嘘のような気がする。
ばれない様に、元気なふりを装っていたのに。
もしかして…
「沖田さんも…その、何か病にかかっているんですか?」
「…別に」
「本当に…?」
「うん。本当だよ」
「忠告させて頂きますが、病は放っておくとどんどん悪くなります。早めに治療を受けてください。…ここぞという時に困りますよ」
「…忠告ありがとう。一応聞いておくよ」
沖田さんはやっぱり何かの病にかかっている。
それも、なかなか治らないような。
なんとなくだけど、そう感じた。
それから永倉さんや原田さんとお話をしたり、夕餉の準備を斉藤さんとしたりしながら夜を待った。
平助君の部屋だ。
「おっ、。目が覚めたか?」
襖があいて入ってきたのは原田さんと永倉さんだった。
「あ、お二人とも…。昨晩はすみません」
「驚いたぜ。咳込む声がしたと思ったらちゃんがいるんだからな」
「すみません」
「とりあえず俺は土方さん呼んでくるからよ」
「あ…はい」
「頼んだぞ、新八」
そう言うと永倉さんは出て行った。
「それにしてもどうしてここに?」
「えっと…一昨日の晩、平助君に会って屯所の方に走り去って行っちゃたから…。真相を確かめたくて」
「見間違いじゃなくてか?」
「はい。確かにこの目で見ました」
「…こりゃあ平助が言うだけあるな」
「え?」
「平助がな、に会った日にお前のことを真っ直ぐな度胸のある女だって言ってたからよ」
「そうなんですか」
「それよりお前、体は大丈夫なのか?」
「それは…「連れてきたぜ」
私は自分のことを言おうとすると土方さんたち他の幹部が部屋に入ってきた。
「皆さん…!御無沙汰しております。昨晩はご迷惑をおかけしました。」
「いや、それよりなんでここに来た?」
土方さんに鋭い目線を浴びさせられながらも先ほど原田さんに話したのと同じことを話した。
「そういうわけか…」
「はい…」
「で、なんで倒れてたんだ?俺たちが知っているころより大分痩せちまっているが」
「それは…ちょっと体を壊してしまって」
「そうか…」
「平助君は…平助君は生きているんですよね?」
私は土方さんに望みをかけながらすがるような思いで訊ねた。
でも土方さんは首を縦には振らなかった。
「でも…!私は確かにこの目で見ました!!」
「平助は!!平助は…死んだんだ。油小路で…」
私の言葉を遮るように言った土方さん。
横で何も言わずに黙ってみていた沖田さんが口を開いた。
「いいんじゃないですか、もう本当のことを言っても」
「総司…!」
「え…?」
「それにちゃんには知る権利もあるんだし。平助の許嫁だよ。それに…もう先は長くなさそうだしね」
「…!!」
沖田さんの言葉に皆が息をのんだ。
私は口を開いた。
「沖田さんの言うとおりです。私の先は長くありません。…労咳に侵されています。」
「なっっ……!!」
それを告げると部屋は静まり返った。
しばらくの沈黙のあと、土方さんがようやく口を開いた。
「…これから言うことは誰にも言うな。言ったら、お前には死んでもらうことになる。」
「はい…っ!」
そうして聞かされた。
変若水のこと、羅刹の存在。
そして、平助君も羅刹であること。
「…こんな所だ。お前が見たのは正しい。」
「そんな…っっ!!」
すぐには頭がついて行かなかった。
でも、これだけはわかった。
まだ、平助君と一緒にいられること。
「だがな、」
一呼吸おいてまた話し始めた土方さん。
「変若水はまだ完成していないんだ。だから、羅刹もまだ未完成だ。…平助だっていつ、血に狂っちまうかわからねぇ」
「えっ…!!」
「だが、最近わかったことだが、東北の地の水は羅刹に良いかもしれないということがわかってきた。」
「それなら…っ」
「あぁ。もし、お前と平助がここえお離れてそこで暮らすってんなら止めはしねぇ」
「土方さん…」
「あとは夜になって二人で決めろ」
「ありがとうございます!!」
私は深々と土方さんに頭を下げた。
土方さんの不器用な優しさが嬉しかった。
幹部の皆も口々によかったなと言ってくれた。
平助君も私も幸せ者だ。
こんなに温かい人たちに巡り合えたんだから。
土方さんが出ていくとほかの人も出て行った。
「沖田さん」
「ん?何、ちゃん」
「あの…どうして私が先が長くないことわかったんですか?」
「…別に。なんとなくだよ」
嘘のような気がする。
ばれない様に、元気なふりを装っていたのに。
もしかして…
「沖田さんも…その、何か病にかかっているんですか?」
「…別に」
「本当に…?」
「うん。本当だよ」
「忠告させて頂きますが、病は放っておくとどんどん悪くなります。早めに治療を受けてください。…ここぞという時に困りますよ」
「…忠告ありがとう。一応聞いておくよ」
沖田さんはやっぱり何かの病にかかっている。
それも、なかなか治らないような。
なんとなくだけど、そう感じた。
それから永倉さんや原田さんとお話をしたり、夕餉の準備を斉藤さんとしたりしながら夜を待った。
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2012/09/09
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