ほのぼの/切甘/恋仲
「なぁ」
「ん、何?」
「もしもさ、俺が死んだらどうする?」
いきなり投げかけられた質問。
何かあったんだろうか?
なんでそんなことを聞くの。
驚いた。でも、私はその驚きを出さない様に答えた。
「何それ?近々死んじゃう予定でもあるの?」
「いや、そんなんじゃねーよ。それにそんな予定たてねえし」
「…じゃあさ」
「うん?」
「もし私が死んだら平助はどうする?」
「んー…。俺なら…」
考えるような姿勢になる平助。
ほら、難しいでしょ。
そんなこと考えたくもない。
それから平助は顔をあげた。
「わかんねぇや!」
「あっそ…」
平助のあっけらかんとした返事に肩の力が抜けた。
それからまたしばらく雑談をした。
「なぁ」
「ん?」
平助がやけに真剣な顔をして私の顔を固定した。
「さっきの質問だけどさ」
「え、まだ引きずってたの?もういいよ、わかんないでしょ?」
「いいから!…考えたんだよ。笑わずに聞けよ」
「う…うん」
それから私のことを見つめながら一呼吸おいて口を開いた。
「が死ぬ時はさ、多分俺も死ぬと思う」
言葉を失った。
なかなか嬉しいこと言ってくれるじゃない。
口角があがってしまった。
「あっ!笑うなって言っただろ」
それをみて怒り出す平助。
「大体お前はどうなんだよ!!」
「私は……秘密」
「ずるくね?」
「いいの」
“もしもさ、俺が死んだらどうする?”
ずっと傍にいるから聞かないで。
あなたが死んだらなんて聞きたくない。
でも、もしも答えを知りたいなら教えてあげる。
あなたと一緒に死んで追いかける。
行きつく先が例え地獄の果てであろうとも…ね。
――end――
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2012/07/23
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