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企画モノ
『肝試し』~一人で行くことになった編~

私のひいたくじには【ハズレ 一人で行ってきてねー】と自分の字で書かれていた。
自分で書いたハズレくじに自分で当たるとは…。

「あれ、ちゃんハズレ?」
「…ん」
「可哀想だね。自分で書いたハズレくじに当たるなんてさ」
「…煩い。行ってきます」
「いってらっしゃーい」

総司くんに見送られて私は屯所内を歩き始めた。
いくら住み慣れている屯所内といえど真夜中に一人で明かりも点けずに歩くのはやはり怖い。
さっさと済まそうと自然と早歩きになってしまう。

土方さんの部屋の前を通ろうとしたとき突然部屋の襖が開いて中から人が出てきた。

「ぎゃ「う、うるせぇ!!」」

叫ぼうとしたら咄嗟に口元を押さえられて部屋に連れ込まれた。

「で、何をしてたんだ?」
「き…肝試し」
「はぁ?肝試しだぁ?」
「土方さんこそなんでいきなり出てくるの?しかも部屋の明かり点けてなかったし」
「俺はちょっと外の空気を吸いに出ただけだ。明かりはいつの間にか消えてたから後で点けようと思ってたんだよ」
「ふぅーん…」
「で、お前はなんで肝試しなんてしてるんだ?」
「暑いから…涼めばいいなぁって思って」
「…はぁ。隊士どもは寝てるんだ。間違ってもでっけぇ声出すんじゃねえぞ」
「はぁーい…」
「じゃあとっとと行け」

土方さんに追い出されそうになった。
なんだよ、連れ込んだくせに。
それに私はこの部屋から出られない。

「…?なんだ、さっさと行け」
「出られない…」
「はぁ?」
「怖いからもう出られない。私今晩ここで寝る。布団貸して」

さっきの一件が怖くて私は部屋から出られなくなっていた。
この状態じゃ屯所一周や総司君達のところまで戻るなんて絶対に無理だ。
しかも今夜は一人で眠れないだろう。
私は押し入れから布団を出して敷き始めた。

「おい!何してんだよ」
「だって怖いもん。私にも半分布団貸して」
「ちょっ…!!」

布団の中に潜り込むと土方さんの袴の裾を握った。
不思議と怖い気持ちも薄れた。

「こうしててもいい?」
「いい?って…もうしてるじゃねえかよ」

土方さんは苦笑いしながらも文机に向き直りまた執務を始めた。

「おやすみなさい」
「おやすみ、。」

そうして私は眠りについた。
もう二度と肝試しなんかするもんかと思いながら。

――END――

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