企画モノ
『肝試し』~藤堂平助と肝試し編~
『肝試し』~藤堂平助と肝試し編~
「おっ、俺は【参】が出たぜ!同じ人ー!!」
「あっ、私だ!…よろしくね、平ちゃん。」
「おう!よろしくな!」
「そこはお子様二人が組んだかー。ま、頑張れよ」
「お子様じゃねぇし!はともかく、俺はな!!」
「ちょっ!!私だって子供じゃないし!子供なのは平ちゃんだよ!」
「はぁ!!俺だって子供じゃねえよ!」
「じゃあ先頭に立ってここ行ける!?」
「行けるに決まってんじゃん!魁先生舐めんなよ!」
そうして平ちゃんと出発した。
「ねぇ…真っ暗の屯所ってなんか怖くない…?」
「あぁ…俺もそう思ってたところだ。」
「お化けでないよね…?」
「で…出たら刀で斬る!!」
「お化けって刀で斬れるの…?」
「う…」
私たちはビクビクと手をつないで寄り添いながら足を進めた。
出発したときの元気は何処に行っちゃったんだろう…?
カタン…
「い…いいいいい今、なんか聞こえなかった?」
「あぁ…ききき聞こえたよな?」
ガタン!!
「「ぎゃあああああああああ!!!!出…出たぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」
大きな物音に私と平ちゃんは今来た道を逆戻りした。
元来たところに戻ってくるとそこには誰もいなかった。
「あ…あれ?皆は?」
「何処行っちまったんだ…?」
「ねぇ…まさか神隠し!?」
「ま、まさか!!いや…でも…ゆ、化物の祟りとか…?」
私たちは顔を見合わせ青ざめた。
そしてほぼ同じ瞬間に同じ方向に逃げ出そうとした。
その瞬間、首根っこを誰かに掴まれた。
「ぎゃあああああ!!私は食べても美味しくないですぅぅぅ!!」
「俺だって美味くねえから離してくれぇぇぇ!!」
「お、落ち着けって。平助、。」
「「え…?」」
聞き覚えのある声がして恐る恐る振り返った先には私と平ちゃんの首根っこを摑まえた左之さんだった。
「さ…左之さん?」
「お前ら怖がりすぎだ。あんなでっけぇ悲鳴あげて…。」
「あれって左之さんたちの仕業かよ!!」
「あぁ、まぁな。仕掛けをした方が肝試しっぽくなるだろうって総司がな。」
「そ…総司ぃぃぃ。」
「そう怒るなって。…でもまぁ、お前ら同じような行動取ったな。二人で逃げ出すなんて…。」
その言葉に私たちは顔を見合わせて苦笑いをした。
もう肝試しなんてしないと誓った夏の夜のことでした。
――END――
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2012/10/07
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