甘甘
お題小説
『恋したくなるお題』から。
“食べさせてあげようか?”
お題小説
『恋したくなるお題』から。
“食べさせてあげようか?”
「ふぅ…やっと半分」
今日は良い天気になったので梅雨の時期に溜まりがちな洗濯物を洗濯中。
「あっ!!ちゃん見ーつけた。」
不意に明るい声が聞こえた。
そこには沖田さんが何か包を持って笑顔で立っていた。
「そんなところで何してるの?庭で穴掘りなんかしちゃダメだよ」
「してませんよ!!洗濯をしてたんです。」
「そうなんだ!ちょうどよかった。僕も洗って欲しいものがあるんだ。ついでに洗ってよ。」
「いいですよ。持って来ておいてください。」
「うん。よろしくね」
ばさっ!!
「これ全部洗っておいてね」
「こんなに溜めておいたんですか?」
「うん。ずっと雨降ってたし、洗うの面倒だし。もう着物が底をつきそうだからよろしくね」
沖田さんが持ってきた大量の洗濯物を見ながら私はがっくりとうなだれた。
p
私が洗濯を再開すると沖田さんはどこかへ行ってしまった。
「くそぅ…沖田さんめ。私に押し付けて逃げたな…」
洗濯がまた半分になると沖田さんが戻ってきた。
「さっき部屋に戻った時に忘れたもの持ってきたんだ。」
見て、と沖田さんはさっき持っていた包を私に見せた。
「これなんですか?」
「金平糖。近藤さんに貰ったんだ。」
「そうなんですか。それでどうしたんですか?」
「ちゃんと食べようと思って探してたんだ。一緒に食べよう。」
「わぁ!!やったーありがとうございます!!…あ、でも…」
私は洗濯の途中だった。今、食べるわけにはいかないし。取っといてっていうのもなんかなぁ…。残念だけど今度にしよう。
「あの、やっぱり私はいいので沖田さんが食べてください。」
「なんで?さっき食べるって言ったじゃない。」
「えっと…」
「なんで?ちゃんと教えて。僕がわざわざ持ってきたんだから。」
「その…私、いま洗濯中なので手が使えないからです。」
私がそういうと沖田さんは驚いた顔をした。
「なんだ。そんなこと。」
「そんなことって…だって手が泡まみれで食べられないんです。」
「じゃあ僕が食べさせてあげるよ。ほら、あーん。」
そう言うと沖田さんは金平糖をつまんで私の口のところに持ってきた。
「なんで口開けないの?」
……。
「食べたいんでしょ?ほら口開けて」
……。
私は口を開けられずにいた。頑なに口を開けるのを拒む私に沖田さんは寂しそうな顔をした。
「僕は近藤さんにせっかくもらった金平糖だから、君と食べようと思って持ってきたのに…」
「沖田さん…」
「ね?だから口を開けてよ」
「はい…」
私はつい沖田さんの言葉に促されて、口を開けてしまった。
「ほら、あーん」
またいつもの笑顔で私に金平糖を口に持っていった。
「おいしい?」
「はい。おいしいです。」
そんな私を彼は優しく微笑んでみていた。
暖かい日差しの差す午後のお話。
可愛い僕のちゃん。僕の目が届くところにずっといてね。
――END――
今日は良い天気になったので梅雨の時期に溜まりがちな洗濯物を洗濯中。
「あっ!!ちゃん見ーつけた。」
不意に明るい声が聞こえた。
そこには沖田さんが何か包を持って笑顔で立っていた。
「そんなところで何してるの?庭で穴掘りなんかしちゃダメだよ」
「してませんよ!!洗濯をしてたんです。」
「そうなんだ!ちょうどよかった。僕も洗って欲しいものがあるんだ。ついでに洗ってよ。」
「いいですよ。持って来ておいてください。」
「うん。よろしくね」
ばさっ!!
「これ全部洗っておいてね」
「こんなに溜めておいたんですか?」
「うん。ずっと雨降ってたし、洗うの面倒だし。もう着物が底をつきそうだからよろしくね」
沖田さんが持ってきた大量の洗濯物を見ながら私はがっくりとうなだれた。
p
私が洗濯を再開すると沖田さんはどこかへ行ってしまった。
「くそぅ…沖田さんめ。私に押し付けて逃げたな…」
洗濯がまた半分になると沖田さんが戻ってきた。
「さっき部屋に戻った時に忘れたもの持ってきたんだ。」
見て、と沖田さんはさっき持っていた包を私に見せた。
「これなんですか?」
「金平糖。近藤さんに貰ったんだ。」
「そうなんですか。それでどうしたんですか?」
「ちゃんと食べようと思って探してたんだ。一緒に食べよう。」
「わぁ!!やったーありがとうございます!!…あ、でも…」
私は洗濯の途中だった。今、食べるわけにはいかないし。取っといてっていうのもなんかなぁ…。残念だけど今度にしよう。
「あの、やっぱり私はいいので沖田さんが食べてください。」
「なんで?さっき食べるって言ったじゃない。」
「えっと…」
「なんで?ちゃんと教えて。僕がわざわざ持ってきたんだから。」
「その…私、いま洗濯中なので手が使えないからです。」
私がそういうと沖田さんは驚いた顔をした。
「なんだ。そんなこと。」
「そんなことって…だって手が泡まみれで食べられないんです。」
「じゃあ僕が食べさせてあげるよ。ほら、あーん。」
そう言うと沖田さんは金平糖をつまんで私の口のところに持ってきた。
「なんで口開けないの?」
……。
「食べたいんでしょ?ほら口開けて」
……。
私は口を開けられずにいた。頑なに口を開けるのを拒む私に沖田さんは寂しそうな顔をした。
「僕は近藤さんにせっかくもらった金平糖だから、君と食べようと思って持ってきたのに…」
「沖田さん…」
「ね?だから口を開けてよ」
「はい…」
私はつい沖田さんの言葉に促されて、口を開けてしまった。
「ほら、あーん」
またいつもの笑顔で私に金平糖を口に持っていった。
「おいしい?」
「はい。おいしいです。」
そんな私を彼は優しく微笑んでみていた。
暖かい日差しの差す午後のお話。
可愛い僕のちゃん。僕の目が届くところにずっといてね。
――END――
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2012/08/23
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