END後/切/命日追悼記念
新選組を離れてから最初の冬が来た。
雪が降り積もるこの地は決して住みやすい環境とは言えない。
だが二人とも穏やかで幸せな日々を送っていた。
そんなある日の夜、藤堂は家の外に出て空を見上げた。
其処には満天の星空は広がっていた。
「うわー……すげぇ星…」
しばらく星を見上げていた藤堂。
昔、人が死んだら星になるという話を聞いたことがある。
それは本当だろうか。
話を聞いた時は嘘だと思い、信じなかったが今なら本当だと信じたい。
そうすれば新選組の仲間が空から見守ってくれていると、自分がもし死んでもを見守っていれると信じられるから。
そんなことを考えしばらくすると家の中からが出てきた。
「平助くん、どうしたの?そんな薄着じゃ風邪ひいちゃうよ。」
は藤堂の肩に羽織を掛けながら言った。
「ありがとう…。でももう少し見ていたいんだ。」
「…そう。じゃあ私も一緒に見ててもいい?」
「あぁ、もちろん」
二人で微笑みあい星空を見上げた。
「昔、さ。こんなふうに二人きりで夜空を見上げたことあったよな。」
「うん。…あの時は戦で大変だったけどなんか和むっていうか…ほっとできた」
「あぁ、俺も。なんか肩の力が程よく抜けた。…また二人で見上げられるなんてな」
「なんか幸せだね…」
「あぁ…。でもさ、その時より星が多くなっている気がしねぇ?」
「星が…?」
「あぁ、なんか…あの戦とかで死んじまった人たちの分の星も増えた気がする。」
そう言ってまた空を見上げる藤堂。
釣られても見上げる。
言われてみると多くなった気もしないでもない。
「星って一体いくつあるんだろうね?」
「ははっ、こんなに多いと正確な数は数えられないだろうな。…でもさ、星って人が死んだらなるって聞いたことあるんだ。だから何百も…何千万もあると思うんだよな」
「そうだね…ッくっ…しゅっん!」
「大丈夫か?もう家に帰って寝ようぜ」
「うん」
くしゃみをしたを気遣い二人は家に入る。
そして用意されていた布団に入ると明かりを消して眠りにつく。
(俺はもう…そんなに長くは持たない…)
自分の身体のことは自分が一番よく知っている。
羅刹の発作が少なくなり、普通の生活が送れるようになった。
でも、羅刹としての力を使いすぎた藤堂。
残りの時間はそう長くはないことを悟っていた。
藤堂は気づかれない様にそっと床を抜け出して外に出て星に願った。
(どうか…と少しでも長く生きれますように…。もし、死んでもが笑っていられますように…)
星に願い事をするなんて我ながら女々しいと思う。
でも自分の命が永久でないからこそ何千年も光り輝く星々に託した願い。
愛する人を置いて逝く辛さは減ることはないだろう。
でも置いて逝かれた人の悲しみを少しでも和らげることができるなら…。
そんな切々とした思いを込めて藤堂は目を閉じて祈った。
しばらくして目を開けるとまたそっと家に入り布団に入った。
「大好きだよ、。ずっと愛してる」
優しい笑顔での頬を撫でるとは気持ちよさそうな笑顔になった。
やがて藤堂もゆっくりと眠りについた。
また一日でも多くの朝を迎えられるようにと…。
――END――
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2012/11/24
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